インサイド

「資料用として資料室、と個人持ち。オレは見せたくないから貸しません」

「ええーっ」

「振るのは楽しいんだけどさー、そこまで行くのに難関山積みで面倒なんだよ、サマコンて。裏方とかも自分たちで仕切らなきゃならないから、苦労多いし。今日も実行委員会なんだけど、すっぽかしてるとこ。あんなの全部付き合ってたら他のことなんにもできないって。できる限りね、委員なんて名の付くものには関わらない方がいいよ、千帆ちゃんも」

関わろうと思ったところで縁遠いものだ、独断専行人間の千帆の場合。

そういうものは、もっと向いているタイプに任すことに、相当前から決めている。

もちろん裕明は、頼りがいのあるそのタイプ。

「委員会、今始まってるの?」

「三時半からだったかねぇ」

「えっ。だってもう四時になるし。めちゃめちゃ遅れてますって、先ぱい」

応えようとした裕明の、口の動きがぴたりと止まった。

視線の向かう先を追えば、ノブハンドルが下がっている。