アルヴァレス 2


 何かが起こる頃だろう。

高校の入学式から、今日で七日が過ぎている。

そろそろ派手な刺激を受けなくては、音大付属の名前も悲しいコトだ。

 新学期が始まって、毎日大騒ぎなのは例年の比ではなかった。

それは高校という新環境というだけではなく、音楽的に非常に大きな変化があったからであり、当然こっちに伝わる影響も半端じゃない。

千帆は新入生に与えられた過酷なスケジュールに追われながら、それでも一日も欠かさず鍵盤に向かっている。

受けてくる刺激に、反応せずにはいられない、と言うように。

 などと分析をしているオレは遡ること十二年、千帆と共に生きていた。

千帆のピアノ。

それが現在のオレである。