幾千幾万幾億の


 ――「アメリア、裕明は何番目?」


「あら。そんなことをオンナに聞くかしら」

 返ってきた答えに、前にもした質問だとわかった。

アメリアはドイツ生まれの英国育ち。前に出会ったのは、パリの街だった。

今ここで再会するまでの時間をどう過ごして来たのかは聞いていない。


「珍しいわね、アルヴァレスがそんなに思い入れるなんて。いつもはもっとクールな印象よ」

「オレ、時々こうなっちゃうんだ。時々なんだけどさ」

「わかるわ。私も時々そうなるもの」

 立木裕明には、最高の女がついている。

そして、彼に関わる女たちの愛も、さらに。

どんな荒波も逆らえるもんか。

名器であればあるほどに、惹かれてやまないハルモニアを持つ男。