でも、じっと頭を下げたまま、無言。 以前にもこういうことは何度かあったものの、いつもなら、 「大丈夫か?」 と言葉を投げると、我に返ってすぐに笑顔にもどり、 「ううん。なんでもない、なんでもない!」 なんて、オーバーに手を左右にふるのに。 今日は少し様子がちがって、どこか虚ろで。 心をどこかに落っことしたような様子が、いつまでも消えないままだった。 「……仕方ないな」