「――き? 樹?」 回想をさえぎるように、隣で声がする。 「ふえ?」 とっさに口から出たのは、すっとんきょうな声だった。 「運転中にぼうっとして。危ないじゃない」 「あ、ああ。ごめん。ぼうっとはしてないんだけど」 「……考えごと?」 「あっ……いや、なんでもない」