腕をほどいて向き合い直したぼくは、涙の筋にそって、親指をはわせながら答えた。 「かもな。いつか向こうへ行ったとき、土下座する。ただ……亜紀の事を忘れることはきっとないし、心のどこかにもらった愛は置いておくつもりなんだ」 「樹……」 「今、あいつを思い出してやれるのは、ぼくしかいないから……って、これもずいぶん身勝手な男のいいぶんかな……」