ぼくは、泣いた子どもをあやすように、ずぶ濡れになっているうしろ髪を、手ぐしでくり返し、くり返し、とかすように撫でた。 「樹……樹……っ!」 「美里があの日、まったく同じこの場所でぼくにくれた優しさ。あれは、正真正銘に無垢なものだった」 (そうだ。純粋だった) 「だから、今度はぼくが、それを返す番だろ?」