「え……ええ。ちょっと長いのがうっとうしくなって」 「うっとうしいって……」 「樹、この髪型は嫌い?」 美里は、ややぎこちなく、短くなった髪を手ですいた。 揺れた髪に染みている、ほのかなシャンプーが香る。 それがいつものもので、ここでやっと、ぼくは落ち着きを取りもどせた。