愛してるの口づけ

「かいさ~ん」

と、いつもの力のない先輩の声で皆それぞれのその後の予定へと足を向けた。

私は、これからバイトのメンバーと顔を見合わせ

「めんどくさいねぇ~」

と力なく笑い、バイト先に向かった。

バイト中は、少しは遊びの余韻に浸っていたが、

やはり仕事は仕事なのでいつものようにバタバタと大きな段ボールを持って走り回っていたから

全然気がつかなかったが、

先輩はバイト先の外の駐車場でずっとバイクに乗って私のバイトが終わるのを待っていたらしい。

バイトが終わって裏口から出た時目の前にいた先輩の手がとっても冷たかったことでそれがわかり、

「たまたま、外に出る用事があったからさ・・・・」

なんて言っている言い訳が嘘であることが分かった。

そんな先輩の行動が全部うれしかった私は、

そのまま向かった先輩のバイクの上にあったヘルメットをかぶり、ニコニコと笑いながらはしゃいでいた。