愛してるの口づけ

こうなると、私はとことん甘えたくなってしまう。

ベッドの上でわがままをいう子供のようにペタリと座り込み、

「アイス・・・アイスが食べたい」

舌足らずの片言しか話せない赤ん坊のように

私はないものねだりをしてまた、甘えてしまった。

「アイス?風邪をひいたときにアイスなんて食べている奴なんてみたことないよ。」

彼は呆れたような顔をしてそういったが、すぐ、

「アイスはダメだけど、何か甘いものを買ってくるか・・・・。」

と、自分の髪を困ったように触りながらドアを全部開けて

「でも、俺が作ったおかゆを全部食べられたらな!!今から、おれは何か買いに行ってくるから君はダイニングのテーブルに用意してあるおかゆを食べてなさい。」

と言いながら、“おいでおいで”と手を動かし、

向かってきた私の背中をそっとダイニングのほうへ押して、

自分の下腹に巻いていた前掛けを外しそそくさと出て行った。

私は、本当はそんなものいらなかった・・・できれば横にいて、

おかゆを食べている私を見て微笑んでほしかった。


“アイスがほしいなんて子供じゃないんだから”と笑ってほしかった。