愛してるの口づけ

それから、

わんわん泣きわめく私に居場所を聞いてすぐ駆けつけてくれた先輩が

看病を理由にそのまま私の家に居座り、

半年ぐらいの間同棲のようなことをしていたのは言うまでもなく

当たり前のことのようだった。

毎日が楽しくて、

喧嘩も良くしたけどとても仲の良い夫婦のようにまた兄弟のようにじゃれ合っていた。

そんなことを思い出しながら、

私は重い頭を抱えて体を起こしベッドの横の机に置かれていた水を一口飲んだ。

時計を見ると午後8時を過ぎたころだった。

起き上った時に、少し物音がしたのだろうか、

彼がそれに気づきまた部屋のドアがガチャリとあき隙間から顔を出して

「起きたのか?気分はどうだい?何か食べられそうなら食べたほうがいい。」

と落ち着いた口調で言ってこちらを見ていた。

そんな彼の顔を見た瞬間、

今一緒にいるのは彼なのにこんなにも先輩のことを

思い出すのはまだ先輩を引きずっている証拠なのだと

認めずにはいられない気持ちが罪悪感となり胸の奥を突き刺して私の力を奪った。