彼は、とことん私を甘やかしてくれる。

どこかの国の女王様のようにほしいものは何でも与えてくれて

私が傷つかないように守ってくれる。

でも、愛されても愛されても満たされない・・・・・

私は欲望を抑えるすべを無くしたかのように

わがままを次々に言って満たされない心を持て余すようになってしまった。

目を閉じてそんなことを考えているうちに今度は、

頭を急に何かで締め付けられているような痛みが走り目を開けた。

その時、走馬灯のように“先輩”のことが頭を駆け抜けた。

“先輩”とは、前の彼氏のこと。

バイト先の先輩で、最初は付き合うことなんてこれっぽっちも考えてなくて

そっけなくそう呼んでいたのが最後まで固定されていた。

去年の誕生日の前日、今日みたいに風邪をひいていた私は

一人暮らしなので自分の家のベッドでおとなしく眠っていた。

するとバイブにしていたケータイが頭の横で震えているのに気がついて目が覚め、

電話に出た。