愛してるの口づけ

先輩はもう戻ってこないくせにいつ私から出て行ってくれるのだろう。

私が胸を痛めるたび、思い出すこの思い出たちはいつになったら消えるのだろう。

こんな気持ちで彼と一緒にいることは、はたして許されることなのだろうか。

私は勝手に流れる涙を拭う訳でもなく流したまま、テーブルに頬を付けて横を向いた。

死にたい

と思った。

強く

死にたいと思った。

声に出してみた。

もしかしたらそうなれるかもしれないと思ったから。

死んでみようと思えばよかった。

でも、死ねなかった。

だから私は今生きているのに、まだ死にたかった。

絶望なんて言葉信じてなかったけど、

結構簡単にくるものなのねとおかしくなって笑っている自分がいた。

急に笑いが止まった。

目の前にあるものに驚いて。

２１本のバラの花束と「おめでとう」の文字と「あいしてる」の文字・・・・

震える手を抑えてその中の一本のバラに手を触れると中に指輪が入っていて

きれいにキラキラ光っていた。

私、そんなに考えていた？

いつの間に帰ってきたの？




彼が笑顔で私を抱きしめて言う前に私は彼と口づけを交わすの。