愛してるの口づけ

最初はもともとそういう先輩だから全然気にしてなかったけど、

日が経つにつれさすがにことに深刻さを考えずにはいられなくなり、会いに行った。

やっぱり事は私が思っていることと反対方向に大きく動いていた。

「あのさ・・・」

って重い口を開いた先輩の眉毛がいつもより強くりりしくなっていたのでそのことに確信をもった。

「ごめん。やっぱりそんな都合よく考えられない。俺はお前がどんなに許してくれようと浮気をした。本当にちょっとした気の迷いで今はお前が大好きだ。でも、そんな都合よくお前のもとに戻るなんてそんなことする俺よりもお前にはいい人がきっといるはずだ。」

って、また気持ちのないような声で言うから、私はあまり別れを告げられたような気がしなくて戸惑っていた。

だからいっとき

「そんな人いたらいいですね。」

とか

「あまりにも無責任じゃないですか？」

とかカップルが別れるときに裏切られた女の子が口にするような言葉で、

あまりのベタさに“私は絶対そんな言葉で相手にすがりついたりしない”

と思っていた言葉を次々にいっていた。