「でも恋宵先輩の本気、ちゃんとわかってる人いると思いますけど」
それなら恋宵先輩がわかんなくても別によくないですか?
そう言ったあと、少し照れたように目線を一度落とした直姫を、恋宵は見ていた。
「そうかなぁ……そうだといーなぁ」
「……恋宵先輩だってほんとは分かってるでしょう? 支え。」
「…………うん。ほんとはね」
だから頼っちゃうの。
主語のないような言葉の応酬は、当人たちにだけわかればいいという、とても人に優しくないものだった。
そんな本人たちは、他人になどわからなくてもいいとばかりに、一瞬同じタイミングで目を伏せた。
それを上げたのはバラバラだったが、先ほどよりも幾分すっきりした感覚がして、直姫は先ほどの恋宵のように、明後日の方へはっきりと顔を上げる。
そして恋宵は、俯き加減で笑いながら、いつものような声色で、言った。
「ね、」
「はい?」
「今言ったの全部、独り言だからね。直ちゃんいないフリするの得意でしょ?」
「……はい。」


