永遠の別れという意味じゃないことは承知しているのに、ぼくにはそれが、同様の意味に思えて仕方がなかった。 「お別れなんて、さみしいこといわないで」 『そうね。ごめんなさい』 「……100円、だね」 『あっ』 肩をすくめながら、涼子は缶コーヒーを横の椅子に置いてサイフを取り出し、100円玉をぼくの左ポケットに入れた。