お互い、インターネットのリスクは理解していた。


なので、距離を置いて当たりさわりのない会話をするに留まっていた。


深みにはまった後で、そのリスクの網にかかったとなると、抜けだすことが難しいのは目に見えていたから。


でも、面と向かって出会い、打ち解けていくのと同様に、ぼくたちも少しずつ打ち解け、素性を明かすことになった。


本名や年齢、あるいは、


「実際の私は無口なの」


「ぼくは見た目が細くて白いから、病弱に見えるかも」


といった、他愛のないことまで。