こくり。 うなずきながら、涼子は白のコートのボタンを留めた。 ぼくも、カラスみたいな黒いコートに袖を通して、マフラーを巻く。 「じゃあ、行こうか」 彼女は小さくうなずき、バッグを抱えて玄関へ向かった。 ……実は、ここ一時間、まともに会話を交わせていない。