「……ふうっ」


出会ってから数時間は、高揚感に助けられて縮まったように思えた距離。


それも、耳がうずく静かな夜になると、急にぎこちなさが襲ってきて、一定の距離に遠のいてしまう。


「…………」


のぼった血の気が引くように、ぼくたちは、いつもの不器用なふたりに戻っていた。