インターネットの中で誰かと恋に落ちるなんて、正直、夢にも思わなかった。


学校や職場や合コンなどで出会い、目鼻立ちや身体つき、表情や仕草を見ながら話をし、一歩ずつ相手との距離をなくしていく。


それが、


「恋に落ちる定石」


だと信じてやまなかった。


なのに、文字だけのこの世界で巡り合って恋することを、自然に、しかも素直に受け入れていることは、実のところ、いまだに不思議でならない。