自分でも妙な気持ちで、でも一度繋いだ手を離すタイミングも見つからず。 ぼくたちは冷たい手と手をくっつけたまま、タワーにのぼった。 『すごい眺め!』 展望室に着くと、涼子はノートにそう走り書きをし、真っ先に望遠鏡へかじりついた。 「そうだね。ぼくも久々きたけど、いい眺めだ」 こくりこくりと、涼子は何度も笑顔でうなずいた。