「さあ、展望券を買って上行こう」 こくり。 低い気温の中でいつまでも外にいられないと、ぼくはカメラに夢中な涼子の手を引っぱって中へ入った。 事後に気がついたけれど、対面を果たして一時間もしないうちに、こうして手を繋ぐことができるのも、考えれば不思議なことだった。 初めて会ったのに、恋人。 初めて面と向かうのに、古くからの付き合いのような、恋人。