「久しぶり……久しぶり?」
ふふっ。
涼子が少し笑った。
目の前に、今まで触れることさえできなかった恋人がいる。
それだけで、夢みたいだ。
「まあいいや。とにかく、行こう」
こくり。
こんなふうにして、初対面ではない初対面を果たし、まずは京都タワーへ向かった。
これといって目新しいものがあるわけではないのに、彼女は目を輝かせながら、持って来ていたデジカメのシャッターを切った。
ちなみに、彼女の聴覚は問題がなかったので、ぼくは声を出し、彼女は持ってきていたB5サイズのノートに文字を書くという手法で、会話を交わしていた。


