新幹線は、ほぼ定刻に到着した。 吐き出される人波のいずれかにいるはずの涼子を探して背伸びをし、辺りを見回したけれど見つからない。 喋ることができるなら、ケータイで声のナビゲートをするところだけれど、それができないぼくたちだったので、必死につま先で立ち、それらしい人を探した。 (ああもう。人が邪魔だなあ) ――トントン。 突然、背後から肩をたたかれたぼくは、 「わっ!」 と思わず声をあげた。