見わたせば、観光客の外国人。 手をこすりながらエスカレーターを駆けあがる危ない若者。 ひとりでふたりぶんの横幅で闊歩するおばさん。 とにかくごった煮のにぎわい。 地元に住んでいながら、あまりじっくり観察することがなかったぼくにとっては、通い慣れた場所が別の世界のように思えたひとときだった。 「さて、そろそろかな」 コンコースというよりクラブのような、人のかたまりがうごめくなかをぬけ、新幹線のホームに立つ。