ぼくの隣で、彼女が 『はーっ』 と白い息を宙にはいた。 ゆらめきは、ブラックホールのような夜空に吸いこまれて、ほうっと消えた。 盆地の京都は、11月の終わりともなると、ものすごく寒い。 加えて、日が落ちた夜ときたら、さらにものすごい。 「寒くない?」 こくり。 ぼくの問いに、彼女はただ静かにうなずく。