7月末。

今日もまた部活。

「待ってて」

2階の部屋から顔を出した高須は、まだパジャマ。

部活まであと30分。学校に着くまで20分。

間に合うのか。高須の準備次第だ。

片手にケータイを持つと、メールが来てた。

差出人は岩田。

内容は一言。

待ってて。

お前もか。



「いや~、一志早いなぁ~」

「いや、岩田呑気だな」

部活に間に合うか間に合わないかギリギリの時間。

「あっ、そろそろ黄色」

「まだだから渡れっ」

「え~っ」

信号をきっちり守ろうとしすぎ。一瞬ブレーキかけたろ。

「信号守る主義」

「まだ青」

高須は猛スピードで自転車を漕いだ為、姿は見えない。

「一志には追いつかないなぁ~」

「時間には間に合わせろ」

朝から色んな意味で疲れる。



「ギリギリ~」

そう言いながら、余裕に満ちた笑顔。

「急いで着替えるぞ」

「うん。…あれ?」

「あっ…」

岩田の視線の先には夕月と天音がいた。

「珍しいね。こんな時間に」

「偶然だね」

岩田と天音は運命の再会を果たしたかのような雰囲気。

「くだらんコントしてないで、行くぞ」

何か、保護者的な気分。

「ごめん、先行ってて」

「…わかった」

「もしかしたら遅れる」

事情はわからんが、とりあえず先に行くとしよう。遅刻は嫌だからな。



コートには和島、高須、野口、佐野がいる。

ん?佐野がいる。

幻覚じゃないよな?遅刻ギリギリ魔の佐野がいる。

「オレ遅刻?」

「土手2週だな」

野口の言う土手2週とは、遅刻の罰。

「オレは間に合ったぞ」

高須は超特急だからな。

ってかオレが朝待つ必要あったのか?損してね?

「間に合った~」

「どこがだ」

ツッコミが佐野へとチェンジした。

「マネージャーより早い」

「遅刻は遅刻」

「見てなければ大丈夫」

何てセコい考え。

「俺らが見てる」

「えっ?黙っててくれたりしないの?」

「しないに決まってるだろ」

「意地悪」

岩田はふてくされた。