天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ

ラビが1年の頃から、彼の歌声を聴いていたファンは知っている。

放課後に、天神学園の渡り廊下で路上ライブのようにギターを掻き鳴らしていた頃。

最初は素人ミュージシャンだと思っていた。

時々ギターでの演奏を間違えたりして。

声だって裏返ったりして。

最初は本当にヘタクソだった。

しかしそれでもめげずに放課後廊下ライブを続け、ほんの数人だったオーディエンスが十人になり、その十人が友人やクラスメイトに口コミで伝えて倍になり。

それが嬉しくて我武者羅にギターを弾いた。

歌だって頑張って練習した。

時には生徒指導や風紀委員長に『やかましい!』と追いかけられたけど、ギターだけは絶対に手放さずに逃げ回ったものだ。