天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ

「あーっ…楽しい」

ギターを爪弾きながら、ラビがステージ上でスポットライトを見上げる。

「皆、よく俺みたいな奴のライブに来てくれるよね」

彼の繊細な指が、弦をいとおしむように鳴らした。

「実はさぁ…去年の文化祭でのライブでも俺こんな調子で…ぶっちゃけ『やっちまったなぁ』って思ってたんだ。とにかく皆に注目してもらいたくて、手段も選ばずにメチャクチャな事してさあ…」

少し俯き加減になるラビ。

「多分今年は、このステージ踏めないもんだと思ってたよ。だってそうじゃん、どう考えたって悪ふざけじゃんか」

ラビのその言葉に。

「そんな事ねぇぞぉ!」

「実は歌うめぇの知ってるぞぉっ!」

意外にも声をかけるのは、ラビの外見に惚れた女子生徒ではなく、『歌声』に惚れた男子生徒のファンの方だった。