天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ

仕込みにしては、随分と人気のない場所へと歩いていく。

既にフードコーナーからは相当離れていた。

それに校舎内ではなく、ずっと屋外を歩いている。

こんな屋外で、食材の仕込みをするのだろうか。

不思議に思っていたルイの前で。

「!」

ヴァースキが立ち止まった。

場所は校庭の片隅、体育用具倉庫の裏。

文化祭に訪れた客は勿論、生徒でさえ滅多に近寄らない場所だ。

そこに一人立ち。

「ヴァースキとは、インド神話に登場するナーガラージャの事だ。ナーガラージャはインドにおける蛇神の諸王を指す」

普段の無口ぶりが嘘のように、ヴァースキはルイの方すら見ずに語り始めた。