天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ

仕込み。

という事は…。

(あの謎の肉の正体もわかるかもっ?)

「あ、おい」

ラビの呼びかけも無視して、ルイはヴァースキを見失わないように走り出した。

…フードコーナーをスタスタと歩くヴァースキ。

間もなく正午になる。

客足は先程よりも大幅に増えている模様。

しかしその行き交う客に誰一人としてぶつかる事なく、スルスルと人混みを抜けていくヴァースキ。

「わっ、うわっ、ごめっ、あっ、すみませんっ」

機敏な行動ができるルイでさえ、この人混みを抜けるのに悪戦苦闘しているというのに。

まるで、あらかじめ人の流れが見えているような動きだった。