天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ

聞こえるのは、炭火を熾す団扇のパタパタという音だけ。

焼き場の前に立っているのに、汗一つかかず。

染川 ヴァースキは黙々と焼き鳥を焼いている。

確かこの焼き鳥屋は、図書部の出店だろうか。

「や、やぁヴァースキ…繁盛してる?」

「……」

ルイの言葉に無言で頷くヴァースキ。

クスリとも笑いやしねぇ。

そして繁盛しているにしては、山のように残っている焼き鳥…。

いや、正確には違う。

ネギマや皮など、定番の焼き鳥は飛ぶように売れているのだ。

ただ一つだけ、やたらと残っている串がある。

「ルイ…俺イギリス人だからよく知らないんだけど…」

ラビがその売れ残った串を指差す。

「この『謎』っていうのは、鶏のどこの部分だ…?」