天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ

その時。

「どうなさったんですか、皇帝っ…」

同じシーンの出番で舞台に立っていた演劇部員の一人が、さりげなく遥のそばに寄ってくる。

そして最初の台詞を耳打ち。

「う、うむ…俺とした事が…手間をかけたな」

この状況下でもハッタリかまして冷静なふりができるのは流石だ。

何とか台詞を部員から聞き出しながら、遥は演技する。

ナイスフォロー脇役。

こうして遥は、どうにかして『ロミオとジュリエット』の舞台進行を続ける。