「ボーッとすんな、お前」
…は?
ここどこ?
気付けばいつの間にか手を引かれて
大股で歩いていた。
じょ、状況が、り、理解できましぇん
「ちょ…ああああ秋本くん」
「秋山だけど」
冷静に突っ込まれる。
そんなことよりも、歩幅の大きい秋山くんについて行くので精一杯だった。
「お前なぁ…隙ありすぎ」
「お前って誰?」
「お前はお前!ほんと疲れるっ」
ずっと背中を向けて歩いていたくせに、
急に立ち止まって振り返る秋山くん。
そして切れ長の瞳で、
ゆいをジッと見た。
「あんた、名前は?」
「ひ、ひっ、日向、ゆっ、ゆいです」
おっそろしい眼力。
つい敬語になってしまう。
そんなゆいに、
秋山くんはフッと笑った。
表情が和らぐと、
なんだか…コワくない。
「お前、同級生に向かって敬語とかバカか?」
名前聞いてきたのはそっちの方なのに、
未だ"お前"呼ばわり。
てめー、
いい度胸してんじゃねーか!!