「さみしいなあ…」 洋子さんが小さな声で呟いた。 それは先ほどと違って悩ましい声だったから、俺は慌てて洋子さんを見た。 やべ、聞いてなかった。 「何がですか」と聞き返したら、洋子さんがこちらを見た。 口元にハンカチを当てているけど、笑っているのがわかった。 目尻に少しだけ皺が見えたけれど、それさえも可愛いと思えてしまうのだから怖い。 洋子さんがふふふと笑った。 「トオルくんが帰っちゃったら寂しいなって、言ったんだよ」 「…えっ?」 「私、トオルくんのこと好きだったから」