「清水さん、後ろ!」 えっ、後ろ? 慌てて振り返ると、少し先に立つ木の幹に、カブトムシがとまっているのが見えた。 「か、か、カブトムシ!」 ここからでも大きいのがよくわかる。 あたしは興奮して昆野くんを見た。 昆野くんが頷く。 それから急いで網を手にした。 今度は失敗できない 今度は逃がさない! 二人で網を片手に、ゆっくりと忍び寄る。 カブトムシはそんなことも知らず、呑気に幹にとまっている。 あと少し あと少し あと少しだ。