「窓の桟にカナブンがとまってた。
けっこう大きくて、清水さんのすぐ近くにいて、清水さんが気付いたんだ。きっと女の子だから怖がるんだろうなって見てたんだけど…。
清水さんは落ち着いてて。カバンからティッシュを取り出すと、そっとカナブンを包んで窓の外に逃がしてあげてたんだ。なんか、その仕草がすごく自然で、僕はいいなって思った」
「………。えっと、昆野くん」
「ん?」
「それが、きっかけ?」
「うん、きっかけ」
…うそん。
いやん、まじで?
まさか、アレを見られていたなんて!
しかもそれがきっかけ!?
どうしよう
どうしよう。
言えないわ。
まさか言えない。
本当はカナブンは窓の桟にとまっていた訳ではなくて。
単に干からびて死んでいただけで。
それが気持ち悪くて、直接触れないからティッシュで包んで。
見るに耐えられないから窓から投げ捨てたなんてぇぇぇえ!
