今思うと大胆だ。
大胆すぎる。
が、パニック状態のあたしにそんなことを冷静に考えられるはずもなく、ひたすら昆野くんの肩にしがみついていた。
「…落ち着いた?」
なかなか長い間ひっついていた、と思う。
まだちょっとびくびくしながら、あたしは頷いた。
「あっ…カブトムシ…!」
慌てて先ほどの幹を見た。
けれど、もちろんカブトムシはいない。
あたしはハッとした。
「ごめん!あたしのせいで、カブトムシ逃がしちゃった…」
「ああ、全然いいよ。カブトムシは、まだたくさんいるから。大丈夫」
昆野くんはそう言って優しく笑ってくれた。
けれど、あたしはすごく申し訳ない気持ちになった。
