「さぁこれで分かっただろ。お前はもう死ぬ運命にあるんだよ、狂った王様よ?」
腰から提げていた剣を鞘から抜き、剣先が国王の首に冷たく触れる。
「―――なんだよ、何がおかしいんだよっ!」
肩を細かく揺らす国王の右目に縦の線を入れた。まるで神官のように。
「私は残念ながら運命から逃れられなかったようだ…しかし坊主、いいのか?このまま私を殺し、恐怖に怯えていた人々は貴様を国王にするだろう。しかし私の残した言葉によって貴様は私と同じ運命を辿ることになるぞ」
青年の眉間に皺が寄る。
「どういうことだ?」
周りの者達は静かに彼らの取引を聞いている。
「私は過去に、貴様のように恐怖政治を引き起こした権力者を仲間と殺した。その後はこの通り国王としていたが、神官が死ぬときこんな言葉を残した。『運命から逃げられない』とね」
「どいいうことだ?」
「答えてあげたいが私はそこまで親切ではないし、もう時間だ―――運命からは逃げられないぞ坊主―――貴様が私のように、神官になるのはもうすぐそこだ。上から見ているぞ―――」
国王はそれだけ言い残すと床に倒れた。


