美しい音楽も終わりに近づいた頃 玲紀があたしの顔を覗き込む様に 顔を近づけてきた。 「どうなさいました、姫。 御顔色が悪い様で」 「あら。貴方様の目は節穴ですの? 私、こんなに幸せな気持ちですのに」 うふふ、と気持ち悪く笑って見せる。 誰が幸せだ。 こんな悪魔と手ぇ繋いで誰が嬉しいかっつの。 貴方様とヵなに? コイツの呼び名なんて ゴキブリで十分だっつーの。