「あぁ、祐菜さん・・・本日も見目麗しい」 甘くて低い あたしの嫌いな声。 何も答えずに優雅に一礼をする。 開始の合図だ。 ~♪♪~ 大広間に響き渡る オーケストラの音色。 あたしには既にその音が雑音にしか聞こえない。 だって、踊りたくもないものを踊り 大嫌いな声で名を呼ばれ 挙句の果てに相手は玲紀と言う名の ―――――婚約者。