希望という名のきみへ


わたし達地球人は武器を持つという経験が無い。

他人に攻撃を仕掛けるなど想像外だ。

もし、自らに命の危険が及んでミテラの存続が危ぶまれるとしたら……

とる手立ては一つ。

破壊だ。

その為に、ミテラのあちこちに自爆スイッチが用意されていた。

故リヒテンシュタイン博士は、このような未来の事態を想定していたのだ。

そして、彼の知識の粋を集めたミテラを人手に渡すよりは破壊を求めていたに違いない。

わたし達には、非常事態の対応がマザーコンピュータによる教育プログラムの中に組み込まれていたのだ。

わたしが口にした答えはそれ故の条件反射だった。


わたしの動揺を察したように、白夜はただ淡々と言葉を繋げた。


「それが正解だ。

彼女を説得している時間はない。だから殺す」


その声に感情は含まれてはいなかった。

わたしは気を取り直し、その先へと話を進めることにした。


「あなたはミテラの軌道を修正できるのか?」

「たぶん」

「たぶん?!」

「一から十までを完璧にこなせば確率は百だが、偶発的アクシデントを全て予知することは不可能だ。

言えるのは、俺がこうしてこれまで生き延びてきたという事だけだ」


わたしの驚きをよそに、白夜はそう言うと自信ありげに笑った。

恐らく、彼について行けば一事が万事、上手く行くのかもしれない。