永遠はわたしの気持ちを見抜き、重大な事実を突きつけた。
「だろうな。ハクの話では、ミテラに生まれた男は全て抹殺された。
彼はその運命を感じとり逃げた」
「そ、そんな……」
そんなことがある筈がない。
が、そうはっきりと否定できる根拠がわたしには無かった。
実際、ミテラでは男性というものを見たことがなかったのだから。
「選民思想を維持する為には、男の存在が邪魔だったのだろう」
永遠の言葉は確信に満ちていた。
――それが事実だとしたら。
ミテラを創った故リヒテンシュタイン博士は、女性だけのコロニーを作ることを目指していたのだろうか?
冷凍保存された精子によって生まれた女性だけのコロニー。
マザーコンピュータに管理された人工空間。
シェルターによって地球と隔絶された異世界。
自分がその一員だったことに気づき、その異様さに初めて気がついた。
――何かがおかしい。
その時、わたしの中に初めて疑問というものが生まれたのだ。