わたしは滝の水の勢いに、打ち叩かれることを覚悟していた。

堪え切れず、体制を崩したら川に流されるかもしれないと身構えていた。

生きる為に死を覚悟した。


が、不思議なことにわたしの身体にはなんの衝撃もなかった。

そして、滝の向こう側には、永遠が両手を広げて待っていた。


「ミク、君が生を選んでくれて、俺は嬉しい」


永遠に抱き留められ、わたしは安堵した。

その言葉は単純であり、真実だった。

わたしは生きることを選び、そして許された。



野犬の鳴き声は、すでに遠くに過ぎ去っていた。