「もう当の昔に、我らの間に言葉は無くなった。

情報の伝達に言葉を介するのは無駄が多い。

直接思考を心に伝える方が、遥かに早いし正確だ。

その代わり、我々に偽りという概念は存在しない。

この固体数で、それは無意味だからな」


「あなたは、わたしの心がわかると?」


「思考のない感情を読み取るのは難しい。

だが、感情の起伏はわかる。

屁理屈は尚更な」


と、永遠の笑い声がわたしに届いたのは、それが彼の感情の起伏だったからなのだろうか……


「お前達のミテラでは、偽りを隠す為に、選民思想が植えつけられた。

義務を課すのに、こんな都合の良い理屈はないからな」


永遠は当然のように真理を口にした。

頷いてしまえばそれまでだ。

だが、肯定すればそれはわたしの存在を否定することにもなりかねない。

素直に頷く訳にはいかなかった。