希望という名のきみへ




男性、というものがわたしにはよくわからなかった。



わたしがミテラに生まれてこのかた、男という性は存在しなかったのだ。

目の前の永遠は、確かに、わたしとは少しずつその形を変えていた。

声が太くなり、体つきが硬くなり、顔は美しい面立ちはそのままにいかつくなった。

口の周りには毛も生え出した。


「男性ホルモンの分泌が高まってきている」


永遠はいともあっさりとそんなことを口にした。