僕には好きな人が居る
でも、誰にも
言えないんだ
だって、その
好きな人は
先生だし、
同性だから……

「はぁ~」

放課後の教室、
今此処に
居るのは
僕と幼なじみの
新庄透だけだった。

「桜香、ため息なんて

ついてどぉした?」

「ぅん?
何でも無い」

幼なじみの透には
通用しないみたいだ。

「嘘だな。
何年一緒に
居ると思ってる」

何か今日の透
真剣だなぁ……

どぉしたんだろう?

「う゛っ」

言葉に詰まる……

「引かない?」

「どんな話でも
引かないさ」

透の言葉を信じて
話す事にした。

僕が好きな人の事を……

「実はね、
好きな人が出来たんだ」

「それで、
ため息なんて
ついてたのか?」

「うん、問題は
その好きな人が
"誰か"って
言う事なんだよ」

よりによって、
年上の同性。

「誰なんだ?
引いたりしない」
から教えろ」

「それが同性でも?」

あっ、口が滑った……

僕は何言ってんだろう!!

恥ずかしくなって俯いた……

「そんな事か」

そんな事!?

サラっと
言ったよね?

恐る恐る顔を
上げて、透の
顔を見たら
さっきと
変わって無かった。

「引かないの?」

「引かねぇよって、
今さっき言っただろうが」

また軽く流された。

「日本史担当の
栢山李雄先生……」

とうとう言っちゃった!!

同性って
だけじゃ無くて
仕舞いには
先生を好きに
なるなんて……

今度こそ、
引かれるかも。

「あぁ、栢山先生か
格好良いもんな」

「う、うん」

「だけど、驚いたな
学校一モテる
桜香が同性愛者
だったとはな」

「あ、いや違うよ
そぉじゃ無くて……」
またま好きになった
相手が同性だった
だけって言うか……」

「分かってる。
悪いな、桜香を
からかったんだ」

「その恋、
応援するそ゛」

「ありがとう」

〈俺達は同類〉

透が
そんな事を
思ってたなんて
知る由も無かった。

しかも、透が
九重先生と
付き合ってるって
知るのは
まだまだ後に
なってからだった。