「途軒君、まだ
授業中のはずでは?」

龍也は少し
焦った様子で
桜香に聞いた。

「栢山先生が
心配性の透の為に
他のクラスより早めに
終わらせたんですよ」

ニコニコしながら、
楽しそうに
桜香が答えると
ホッとしたような
苦笑いのような
顔をした。

「まぁ、立ち話も
疲れるだろうから
取り合えず
二人共座ったら?」

言われた通り、
桜香と並んで
ベッドに座ったら
薄野先生が
ココアを渡して来た。

「有難うございます」と
お礼を言って、
二人分ココアを
受け取り一口含んだ。

ガラガラ

保健室のドアが開いて
李雄先生が入って来た。

「ぉゃ、いらっしゃい

栢山先生も
座ったらどぉですか?」

何処からか
椅子を持って来て
李雄先生に
座るように促した。

「あ、はい
ありがとうございます」

校内で屋上以外の所で
四人揃うのは中々ない。

職員室は他の教師が
沢山居るし、
教官室は他の生徒も
出入りするから
校内でゆっくり
四人で集まれるのは
屋上くらいだった。

あそこも人目を
気にしながらだけど……

椅子を極力
俺達の方に寄せて
座った李雄先生。

「栢山先生も
何か飲みますか?」

こぉして
気が利く所も
薄野先生が
人気の理由の
一つなのかもしれない。

「コーヒー・紅茶・ココアに
緑茶・ほうじ茶・煎茶
何でもありますよ?」

どれだけ
品揃えいいんだ……

「それは凄いですね」

俺達の思ってる事を
龍也が代弁した。

「じゃぁ……紅茶で……」

李雄先生も
迷ったみたいだ。

俺達の時は
何も聞かずに
ココアを出されたから
気にしなかったが、
此処まで
揃ってるって
凄いよな……

本当に保健室か……?

「薄野先生って
お茶好きなんですか?」

ぅぉ!?

桜香直球だなぁ

「学生時代に
嵌まってしまってね」

おどけたように
肩を竦めながら
薄野先生は答えた。

ぃゃ、幾ら
嵌まったからって
職場にまで
わざわざ持ち込むって
ある意味凄いな。

「今度、紅茶の
美味しいいれ方
教えて下さい」

また桜香は……

「ok
いいよ」

薄野先生まで……

「ありがとうございます」

李雄先生は
何も言わないけど
いいんだろうか?

龍也も何も言わないし
まぁいいか……

保健室で
そんな話しを
したのが一ヶ月前。

今はというと
恒例となった
龍也ん家に集まる
(一人住んでるけど)時に
薄野先生も
加わるようになった。