ー透視点ー

午前中の桜香は
ずっと、上の空って
感じだった。

きっと、李雄先生を
心配をしてるんだろう。

そしてやっと、
昼休みになった。

「とりあえず、
屋上に行こう」

「そぉだね」

俺達は弁当を
持って屋上に向かった。

相変わらず、
錆びた音を
立てて開いく。

隣に居る桜香は
まだ不安顔だ。

心なしか、歩調が
早くなっているのに
本人は気付いてない。

「あ、居た」

そして、龍也と
李雄先生を見つけた。

「待ってましたよ」

ご丁寧に、
レジャーシートが敷いてある。

「李雄……」

誰も居ないのを
確認した後で
桜香は李雄先生に
抱き着いた。

さっきまでの
不安顔と
打って変わって
嬉しそうだ。

桜香が李雄先生の
隣に座ったのを確認して
俺も龍也の隣に座った。

「腹へったな」

緊張が解れた
途端に腹がへった。

「だね」

四人で弁当を広げた。

「こんな所、他の生徒や
教師達に見られたら
色んな意味で
ヤバいよなぁ……」

「ですね、
とくに国光先生に
バレた日には」

おい、龍也……

「恐い事言うなよ」

李雄先生が
半分青ざめた。

「せっかくの
お弁当がまずく
なっちゃうから
この話しは
終わりにしよう」

「そぉですね」

その後は、
弁当を食べて
龍也ん家に
居る時みたいに
色んな話しをした。

こぉして一週間、
国光先生から
逃げ切った李雄先生
今日は土曜日。

今では休日は
龍也ん家に行くのが
当たり前になっていた。

三駅と何かと
近場の龍也ん家。

今日も桜香と龍也が
せっせと
料理をしている。

二人は気が合うのか
『あれ』『それ』で通じてる。

inキッチン

「桜香君、
すみませんが
あれ取って下さい」

「どうぞ」

何故わかる?

「龍也先生の所にある
それ、貸して下さい」

「はい、どぉぞ」

だから何故わかる?

「有難うございます」

「なぁ、李雄先生」

「ん?」

「あれは、
ちょっと妬けるよな」

二人のやり取りを
見ていると
まるで熟年夫婦のよう。

「だな」
李雄先生と二人
苦笑いをした。

俺達がそんな事を
思ってるなんて
露ほどにも
思ってないだろう
二人が料理を運んで来た。