今日は久々に来た
龍也の家で
一年前の話しをしていた。

結構長い話しだし
時計を見れば、
話し出してから
三時間は経ったていた。

「これが、俺達の
付き合い出したきっかけだ」

話してる間、龍也は
俺の袖をギュッと
握っていた。

桜香や李雄先生に
軽蔑や同情の言葉を
言われるのが
恐いんだろう……

二人がそんな
人達じゃないと
頭で分かって居ても
恐いものだ……

沈黙の中、
口を開いたのは
桜香だった。

「龍也先生」

ビクッと龍也の肩が跳ねる。

「頑張ったんだね」

うん、桜香なら
そう言うと思った。

「透に会うまで
一人でずっと
頑張ったんだね」

同じ言葉を繰り返す。

「桜香君」

「僕なら、
きっと耐えられない。
辛い事なのに
話してくれて有難う」

優しい笑みを浮かべた。

「話したのは
私じゃなく透です」

幼なじみだけに
次に言うだろう
言葉が予想できる。

「どっちが
話したとかじゃなくて
そんな辛い話しを
してくれて
有難うってことだ」

先に答えたのは李雄先生か。

桜香も同じことを
言っただろうけどな。

「良かったな」

未だに俺の服を
掴んだままの
手に自分の手を
重ねるて握った。

「はい」

「龍也、ゴメンな」

李雄先生が謝った。

「何故です?」

「気付いてやれなかった」

悔しそうな顔をする
李雄先生。

「いいんですよ、
もぉ、昔の話しですから」

「それよりも、
今は国光先生を
どぉするか考えましょう?」

「だょな……」


李雄先生が
盛大なため息をついた。

「国光先生に
追いかけられる
様になって
もぉ、半月だよね?」

「あぁ、言ってなかったが
此処一週間は
家にまで
来る様になったんだ」

そりゃもぉ、
ストーカーの域だろ!?

あまりの衝撃的事実に
龍也と桜香は放心状態だ。

「今、考え中なんだ……」

「うちに泊まりますか?」

不意に龍也が言った。

「いいのか?」

友人とはいえ、
躊躇するよな。

「はい
李雄が良ければですけど」

俺はいいと思う。

「僕も安心だし
当分、龍也先生ん家
泊めてもらったら?」